2020年11月01日

レア中のレアな映画館がある、ということで、福岡でも最近ほとんどいってないのに、北海道で映画を観た  笑

浦河町の大黒座というミニシアター
ここ
映画化もされていたり、大友良英さんがライブしてたり、宇梶剛士さんのびっくりビックなサインがあったり
映画好きの間では、知る人ぞ知る聖地らしい
館内は、所狭しとチラシ、ポスターが貼ってあって
むっちゃメジャーどころから、もちろんミニシアター系の作品まで網羅
だけど、近所のおばあちゃんおじいちゃんが常連さんの、Dr.コトー診療所みたいな空気感もありーの
港までは歩いて1分
トンビ、カラス、カモメ?がびゃんびゃん飛んで
とにかく、面白い場所だった

(大黒座の写真は撮り忘れたー)
上映中の作品は「花のあとさき   ムツばあさんの歩いた道」という、NHKのドキュメンタリー番組の映画版で、埼玉県秩父の山合いの集落の、18年間を記録したものだ
ムツばあさんは「長年畑として使っていた土地を、山にお返ししたい」という思いで、ご主人と2人、花を植え続け
それは、一万本に達するそうだ
春は福寿草の黄色から始まると、ムツさんは言う
段々畑の細い畦道を、時折斜めになりながら、手を後ろに組んで歩く、小さな小さなムツさんの後ろ姿
振り返り、花の撮影が終わったらお茶飲みにあがっておいでと、カメラマンに声をかける
春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て
季節は巡り、だんだんと年を重ねていき
近所のおばあちゃんが亡くなり
ムツさんのご主人が亡くなり
そして、ムツさんが亡くなり
ムツさんの意思を継いだ、上の家のご夫婦も順番に亡くなって
村には、誰もいなくなってしまった
それでも
春が来て、「自分たちが世話できなくなってもしっかり育つように」と端正込めて育てた花が咲き、村をかぐわしい色と匂いが満たしていく
命は回っているのだ
地球は丸いから
季節が巡るように
大きな大きなサイクルの中で
光を浴び、風を感じ
命を吸って、命を吐いて
私たちも、くるくる回る循環の輪の中にいる

2つ後ろの席のご夫婦から、話しかけられた
お二人も、この近くの丘に花を植え続けてるという
是非見て帰ってください、と、ご自身のインタビューが載った地域の新聞をくれた
そこは「ルピナスの丘」と呼ばれ、想像を越えて、本当に沢山の種類のお花が植えられていた
海の向こうに、夕陽がトロリと沈んでいった
これは、なんというプレゼントだろうか

海風が、耳元でびょうびょうと鳴っている
カラスが、すごい勢いで飛んでった
さっきまでかろうじて見えていたお花も、下を向いて、眠りにつこうとしている
ああそうだ
トイレを我慢していた
我に返った友人と2人
北海道民の誇りセイコーマート(北海道限定のコンビニ)を目指し、丘を下ることにして
もう一度だけ、後ろを振り返った