影まで、あまりの暑さに、シュワシュワッと消えてしまいそうだ
もう夜七時半くらいなのに、真っ昼間みたい
時が止まったかのように、暑さがフリーズしている
大体、内輪差ってなに
後ろのタイヤは、誰が動かしてんだ
等と、妹にさんざん文句言ってる間に、夏も佳境に入っていった
はげるほど暑かった
そのうち、自分から、わからないことをその辺の人にガンガンきくようになった
あまり上達はしなかったものの、女神や、他の教官がたや生徒さんや、色んな方と交流するようになり、おそらく視野が広がっていったんだろうと思う
会う人会う人、みんな優しくて、感動が込み上げて
その日の教習が終わると、近くの本屋に行って、自己啓発本を一時間くらい立ち読みしてはポロポロ泣く、という、へんなゾーンに入った
しかもほぼほぼ毎日
ああああ、なんて自分は幸せなんだ
沢山の人が助けてくれる
ありがとう
なんつって本気で思いながら、飽きずに感動した
という訳で、今思えば、なんだかおかしな毎日だった
自分が育った町で、社会的責任から解放され、母の作ったご飯を食べ、毎朝父に起こされ
私は、当初の予想に反して、自分と向き合わざるを得なかった
変わった、というか、思い出したのかもしれない
子供の頃の自分を
仮免は、ダークサイドに落ちつつ何とかクリア
その後、燃費のいい教習車で、一般人に混じって一般道を走り、ぱーぱーしながら、高速まで走った
人様の命を預かっている、というあまりの恐怖に、テンションが振り切れ
感謝のゾーン(?)で乗り切った
ここまで、けっこう泣いてるものの、号泣には至っていない
最後の難関、路上試験の一回目
私は前の人の試験で、後部座席に座っていた
特に厳しいと噂の女性の試験官で、車内は緊迫
緊張してたせいか、試験を受けてた子は路駐していた車にぶつかりそうになり、試験官が慌てて急ブレーキ
なにやってんだ!ぶつかるでしょう!
当たり前だけど、試験官は、きれっきれで
車内には、青白い炎のような怒りのオーラが充満
即刻試験場に戻り、ほどなく私の試験が始まるのであった
嘘でしょう…
(まだ泣いてない)