2023年06月06日

こんなに細かい造作のものが、土手一面に咲いているってどういうことだろうか
葉の緑は背伸びするように
生まれたての色を、放っている
宝の山だ、、ぐふふ、、
と、金銀財宝を目の前にした山賊かという風に、やらしい目でシロツメクサを激写
わたしが思い込んでいたシロツメクサって、何だったんだろうな
こういう出会い直しは、至る所にあって
自分が普段、いかに何も見てないかを思い知らされる
でも
おかげで、何度でも心踊らせることができる
この世界はなんてところだ
胸がギュッとなって切ないくらいだ

花もいいけど、葉っぱもいい
木を見上げていると、上へ上へひゅんと引っ張られる気がする
エネルギーは螺旋なんだと実感する
足元と空は繋がっていて
その間にいる私たち
人間は、間にいるのだと思い知らされる
「わたし」がわたしではなく、「間」がわたしなのだ
そう思いながら、何となく片付けてはいるけど物が溢れてる部屋を見ると、これはわたしだなあ、とちょっと笑えるくらい
持っているものが多いんだな
手放すのは心細くて
誰か思い切りよく捨ててくれないか、とどこかで願ってしまう

久しぶりに、実家におば(母の姉)を連れて行った

父も同郷なので、父、母、おばの3人集まると昔話に花が咲く

どっかの峠の話をしていた

あそこば通りよったらさ、山ん上から、でっかい黒い塊が跳ねて飛んできて、目の前の木のてっぺんにドーンってとまって、うにゃぉ〜!!ってものすごい声ば出して鳴いたんよ

と、おば

およー、あそこはおるもんね、うちもみたことある

と、母

もうびっくりしてたい、しげよ(もう1人の妹)ば置いてから走って逃げたもんな

と、おば

あよー

と、父

あんなかなあ(危ないね)、黒かった?白やなかった?

と、母

一つ前の朝ドラで話題だった五島弁炸裂

五島出身の母たちは、普段から、リアルに合いづちでおよーあよーを連発する

わたしは隣で聞いてて、ちょ待てよ、と

一体何が飛んできたのか、すごい気になって「なんが飛んできたと?」と口を挟んでみたら、きつねかたぬきやない、ということだった

、、猫じゃないんかい 笑

3人の話しは、大雨の日海でなくなった神父さんとおぼしき人魂をおばと友達が目撃した、という話題に変わっており

わたしは、それはそれで気になるけど、きつねかたぬきってさ、みたいな感じになった

神隠しもカッパも、きつねもたぬきも、近所のおばさんレベルで存在している

それは、確認するまでもない共通認識であり、不思議な出来事は不思議なまま、しくみとして辻褄があっている世界なのだ

嘘かほんとかなんて、関係ない

すべてを受け入れる、懐の深い昔むかし

翌日、菖蒲祭りにみんなで出かけた

実家がある大村市の大村公園は、八重の大村桜と菖蒲が有名なのだ

熊本から猿回しが来ていて、見物

わたしは少し離れたところから、その光景を見ていた

猿回しさんの滑舌のよい声が、公園に響く

人だかりの隙間に

押し車の母、車いすのおば、杖をついた父が並び

その隣で、きゃーきゃー歓声をあげる甥っ子たち

アイスコーヒーの氷の溶けるのが早い

ショートカットの首すじが、日に焼けてヒリヒリする

でも、ここでずっとみていたいな

笑い声が重なる