2018年09月22日
この花は、どうしてこの形に伸びたんだろう
何か言いたいことがあるのかな
どこかに届きたいんだろうか
意味深な姿だ
街路樹だから、その内、通行人の邪魔にならないように小綺麗に、剪定されるかもしれない
剪定されなくても、花は枯れるだろう
ああ
気になる
あなたは、何を想うの
録画していた、NHKのゴッホの特番をみた
日本に傾倒し、そこに理想の美を見ていた、というテーマで、画家として絵を描いた10年を追う
何年か前、私はゴッホ展に行った
有名な作品が沢山あったと思うんだけど、あまり記憶に無い
ただ一枚だけ、強烈に印象に残ってる絵がある
それは、アイリスだった
実際どのくらいの大きさだったか曖昧だけど、私の中では、ものすごく大きくて、アイリスの藍っぽい深い色が、その形からはみ出して、額縁の外に飛び出していた
私は絡め取られて、しばらく動けなかった
この時の感情を、なかなか言葉に出来なかったんだけど、この番組をみて、ああそうか、と思った事がある
ナビゲーターの吉岡りほさんが、晩年の作品に対峙する
夢破れて、自分を追い込み、精神を患い、隔離された病院の中で、行きつ戻りつしながら描いた、アーモンドの花
薄い紫のような背景に、白い桜に似た花が、咲いている
魂だ
これが、魂なんだ
私は生まれて初めて、魂というものを、この目でみた気がした
この人の魂が、絵具のひとぬりに結晶化されている
永遠に
その絵には、ゴッホの不幸な最後から想像するような、激しさや重さは全くなく
自然の形だった
花のようだった