2023年04月06日

臥龍桜

写真ではわかりにくいけど、龍のように枝が地を這い

足元から見上げる空まで、花で埋め尽くされる

名島城跡に咲く、幻のような桜

一年に一度、狂おしいほどの春を世界に放つ

桜は、扉を開く

今年は天気の関係で、花を長く楽しめてると、桜大好き友人が言っていた

雨ではなく風に散る桜を、普段より余計に見れるかもしれないという

花びらが散る

何年か前、風の強い日に、空いっぱいに桜の花びらが散るのを見たことがある

まるで、テレビでみたサンゴの産卵のようだった

海の底にいるような、浮力だった

ふわふわと浮遊して、花びらは、景色を薄くももいろに染め尽くし

それは、終わりではなく始まりで

ほんとうに美しい光景だった

世界は突然変わる

それは、つぼみの中で知らないうちに膨らんでいく

夏があり、秋があり、冬があり

そうして、ある日その片鱗に気がつく

溢れ出したものは、世界を一瞬にして変える

そうあることで、そうあるだけで

すべては変わる

花が散るとき、重力を感じる

重力って、地球に住んでるとものすごく(いちばん?)影響を受ける力だ

の割に、普段意識することはほとんどない

重力つよっ、からだ重たっ!とか、重力よわっ、心もとないわ、とかは、あんまり考えない

だから、今の時期、桜や楠の葉が散るのをみて、重力ってきれいなんだなあ、と思うようになって、それは新しい発見だった(掃除は大変だけど)

重力は目に見えないし、形がない

でも、例えば花びらのひらひらと舞っていく軌跡を辿ると、重力が見えてくるのだ

それは、外的なものに翻弄されまくってるようでもあり、意志を持ち自分の場所へ落ちていくようでもあり

どちらにしても、美しい舞だ

「舞うように」と表現する日本人の感性に、ほんとうに感服してしまう

自分はどうだろう
翻弄されまくっているようで、自分で自分の落ちる場所を目指しているのだろうか
どっちだったとしても、花びらのようであればいいな
舞うように、目的地へ行けたらいい
重力は、自分を縛るものではなく
自分を美しくするものだったなら
わたしはどこへ行こうとも、終わりであり始まりの中を、ひらひらと揺らめきながら、生まれ続けることができる

憧れながら