2020年07月26日

大宰府   石穴稲荷神社にて

少し薄暗い境内
境内。。
というくくりにはならないかもしれない
そこは、入ることを躊躇うくらいの神聖な場
ドキドキした
原始的なにおいがするのだ
なんといえばいいのか
神社というより、祭祀をする場所という感じがした
木々や、鳥や、虫や、花や、岩や
そこに在るもの全部の、息づかいがする
空気が濃い
密度が違う
天気予報では雷雨だったにも関わらず、友人が急にいこうと連れ出してくれた頃に、雨があがって、光が射し込んでいた
奥の宮には靴では入れないそうで、専用のスリッパに履き替え
能舞台の上に立つような、小さなお宮にご挨拶した
更に左手奥の、水を湛えた苔がつく大きな岩を、裸足で上ったり下りたり
辿り着いた岩と岩の間の暗がり
その隙間は、神様とコンタクトをとる入り口だったそうで
私は
なんでここにいるんだろう、と不思議な気持ちになった
蚊の飛んでいる音がやけに大きい
岩を這う虫の気配までリアルだ
影が、まるで意思を持って揺らめく
葉っぱが、優雅な曲線で、寸分たがわずその場所にピタリと落ちてくる
許されただろうか
自然は、人を拒むことがあるというけど
岩の途中で「やっほー!」と叫んでみた私の声は、すぐに跡形もなく消えた
奥の宮から戻って、下の広場の奥の、深い林の方をふとみると
一輪だけ咲く花、そこだけに、雨上がりの純度の高い光があたっていた
花はまざまざと、そこに在った
風がザーッと吹き、木々が揺れ、葉っぱについていたんだろう水滴が、おでこにパンッとあたって
私は我に返った
それから、狐につままれたみたいに
足を蚊にかまれていたことを思いだし、ぼりぼりかきながら神社を後にした
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