2019年02月08日

近くにでっかい川があって、その川沿いの道が好きで、チャリでよく通る
あまり綺麗とは言えないけど、水面は日があたればどこまでも輝いて、太陽に光の道が繋がっていく
土手には所々、立派な木が、斜面に沿って斜めに生えており
緑の葉をわさわさ繁らせ、その影に暑さをしのいだり
よくわからん実を沢山つけ、鳥が集まるのをみて、食べれるのかな?と思ったり
冬は葉っぱが全部落ちて、芸術作品のような佇まいを、おしげもなく見せてくれていた
今日、久しぶりにその川沿いの道を通った
そしたら、木が、全部根元から切られていて
一番大きかった木は、切り株の直径が、1メートルは優に越えていて、ここまで大きい木だったのかと驚いた
切り口は、鮮やかなオレンジ色
薬でも塗ったのかな、と思うくらい艶々していた
あまり土の部分はない場所なのに、この木は、どうやってここまで大きくなったんだろう
どのくらいここにいたんだろう
私が引っ越してきた時には、既に大きい木だったから、10年は余裕だ
木がある世界から、木が無い世界に、知らない間にジャンプしてしまった
あの、大きな木は、どこに行ったんだろう?
きっと、ここに集まる鳥たちは
そんな風に不思議がるに違いない
そして、何事もなかったように、他の場所へ飛んでいくんだろうか
私は木の無い世界で、もうすでに、あの木の感触が消えかけていることに気づく
どっち向きだったか
どのくらいの高さだったか
どのくらい枝を広げていたか
幹はどの程度ごつごつしていたか
においは?
風が吹いた時のしなりは?
何色の花が咲いていた?
本当に実がなっていた?
ああ
私の中から、記憶が漏れていく
それが、たまらなく嫌だ