2018年03月08日


少し汚れた窓の向こうで、雨がふんわり降っている

例えば、なんで雨は降るんだろう

逃げ場が無くて無数にできた水溜まりに、雨の模様が、トン、トトンと、不規則に輪を広げる

波紋の仕組み、雨の仕組み、説明出来る天才は、この世に沢山いるんだろう

でも、わからなければ、それは極上の不思議となる

その不思議を知りたい、と思う反面、知りたくない、と思う自分もいる

微妙な空気になった同僚のほんとの気持ち、好きな人のほんとの気持ち、自分の進むべき道、夢を叶える方法、幸せになる近道、知りたいことは山ほどあるような気がするけど、それと同時に、知りたくないんじゃないかとも思う

好きで、悩んでいる

人間はきっと、物好きな生き物だ

京極夏彦さんの人気シリーズの主人公が、「この世に、不思議なことなど無いんだよ」 と、友人に語るくだりがある

そう言って、謎と思えた複雑怪奇な出来事を解体していくのが痛快で、大好きなんだけど、謎解きのカタルシスの裏側にはいつも、どこかけだるいというか、喪失感というか、危なげにバランスをとっていたものが音をたてて崩れていったような、そんな気分が残って、胸に小さな穴があく

真実はいつもひとつ、とコナンくんは言う

物語の中で、探偵はそう言って、そこにいる人達の最大公約数的な真実をチョイスし、その場にケリをつける

そう考えると、大変な役回りだ

現実の生活の中で、私も真実を選ばなければならない時がある

その積み重ねが、自分を決める

だから、なるべく不思議は不思議のままにしておきたいのかもしれない

その日が来るまで