2022年10月05日
空と海の境目が、曖昧で遠い
あまりに静かで
汗がつたう音が、聞こえる
どうしても見たい作品があったので、思い立って別府に来ました
この日は、夏に逆戻り
バスを降りてすぐ足湯があったので、ふらふらと入ってみたら、出た後も、しばーらく汗だくでした
わたしの住んでる福岡から、バスで2時間半
別府は、山と海に挟まれた、どこか知らない街だった
ベップアートマンスの一環というか、目玉かもしれんけど
塩田千春さんの「巡る記憶」というインスタレーションが目的
10月16日まで展示されています
記憶が沈んだ、
もう使われていない古い建物
塩田さんご自身が街を歩き回り、会場を決められたそうで
歩くこともまた、記憶を巡るという作品の一部なんだと思いながら、街をたどって行きました
1ヵ所目
築120年の草本商店は、小麦粉の卸問屋だった建物
一段一段が急で、幅の狭い階段を、はしごのように上って2階へ
その空間の密度に慣れるのに、しばらく息をつめた
水がはられた上に、繭のように白い糸が編まれていて
その糸をつたい、水が落ちて
その不規則で、微かな落ちる水の音は
のぞき込む自分が、のぞかれている水の中の自分であるような気分にさせる
さらに3階へあがるとたたみになっており、背筋を伸ばして正座してみる
たたみの向こう側の部屋が、すべて作品になっており、何かの巣みたいだった
錯覚
すごく不思議な気持ちで、座っていました
記憶は見えない
でもこの白い糸は、空間に浮遊する記憶を絡めながら編まれていて
その記憶が、今も続き続けている様を、見ているようだった
白い世界は、水の世界でもあり
空気中の水が、ゆっくり水滴になるように
記憶もまた、雫となり、循環していく
建物をでると、空は青く
時間の軸を戻そうとして、大きく息を吸った
さあ次は、赤の世界へ
②に続いちゃうぞ