2019年01月10日

思わぬ所で、思わぬ景色に出会った
寂れて、使う人もまばらな歩道橋
光輝いて、行く先へ導いている
私はまだ、ほんの少しだけためらっている
今までいた場所と、まだ心が繋がっているのだ
後ろ髪ひかれるこの覚束無さを、ゆらゆらと引き連れながら
私は、橋を渡った
大好きな、本屋カフェに来ている
最近ここに来る時は、雨をこらえきれない、という感じのお天気の場合が多い
今日も降りだしたので、雨宿りしている
今私のかわりに、チャリが雨に湿ってくれているだろう
お店に入ってすぐ、谷川俊太郎さんの詩集が目にとまった
「幸せについて」
パラパラとめくってみると、谷川さんのシンプルな人生観が、キラキラと踊っていた
歳を重ねるごとに、子供のような純粋な眼差しに、戻っていかれるような印象だ
子猫がじゃれている
子猫は、きっと幸せだろう
幸せという言葉も概念も知らないけど
みたいなことが、書かれてあった
そうか
幸せは、そういうものなんだな
人をみて羨ましいと思う
そうすると、自分の中の足りない部分が、ぶわさっっと出てくる
でも本当は、それはどうでもいいこと
自分が、昨日の夜暴飲暴食したことも、何も成し遂げてないことも、左肘が痛くてたまらないことも
どうでもいい
どっちでもいい
それでいい
そう思うと、自分が空っぽになった気分になる
何もない
そしたらそこを
雨が、ふわふわのふりかけのように降っているな
コーヒーがおいしいな
あの人に会いたいな
みたいなとりとめないことが、通りすぎていく
ああ、何を書こうとしていたのか、また忘れてしまった
ただ、今、この「私」という器の中に溢れているものは、幸せに近いものじゃないか、そう思うのだ
こないだ戴いた問い
幸せとは、何なのか
今年、戦争をテーマにした作品を読むライブをする
そのテーマの持つ重みは、幸せとは何なのか、という問いを受け継ぐことで、私という媒体を使って人に伝える意味が出てくるような
そんな気がしている
そうであればいいな、と思う