2023年04月26日

風が、空に連れて行く

この1ヶ月、自分の足りないところ、次に活かすにはどうしたらいいか、人としてイタイ部分、大人としての在り方、仕事との向き合い方、エトセトラ、、といったことをずっと考えていた

考えて何かを実行すればいいんだけど、結局考えるだけで役にたちゃしない

、、なあんて、不毛な問答を繰り返す

それは、同じ間違いをしないために、人に迷惑をかけないために、誰かの助けになれるように、忘れないよう戒めるために、

自己否定にならないよう、反省と自分を責めることは違うということを言い聞かせながら

わたしは、悲しいのだろうか

切り替えたふりして、手放したつもりになってみたりしたけど

奥のほうに、とても静かな空気の層があって

たぶん、悲しいのかもしれないな、と思った

幸せな毎日を送っている
矛盾してるようだけど
それは、なぜ悲しい気持ちがするのか、何となくわかったからかもしれない
楽しかった思い出
嬉しかったこと
くだらないこと
もらった言葉
一緒に過ごした時間
思わず笑ってしまったり
思わず泣いてしまったり
わたしの作品、例えば歌ったうたに
何かを感じていただいたこと
それを知っているから、悲しいのだ
それは、幸せの裏返しなんだなと感じている

昨日テレビで、夕日を見ていてなぜ懐かしいと思うのか、という話をしていた
詩人の最果タヒさんは、この景色は見たことがある、という感覚になると表現していた
過去と未来が、夕日の向こうからやってくると
夕日を見ていると、確かにどこかに帰りたいような、でもどこに帰りたいのかわからない、そんな気分になることがあって
人はそれを、「懐かしい」というのかもしれない
奄美の方の方言だったか(うろ覚え)、「なつかしゃ」という言葉があるそうだ
美しいものをみた時に使ったりする、確かそんな意味だった
ああ、美しいものをみて、懐かしいと感じるのだなあ、、
と、妙に納得した
そういえば、昔の人は「美し」を「かなし」と読んだとも言う
色んなことがあっても、色んなことがなくても、理想の自分でいれるときも、たいしたことないなあと泣けてくるときも
全部があっての今ここにいる自分だから、かなしくてやるせなくて、そして、うつくしいのかもしれない
なつかしいなあと思えるとき、わたしの過去も未来も、静かで温かい

やったことないことをやろうと思って、一人で、朗読ライブをすることにした
それは、たいした決意でもない
自分にプレッシャーをかけてやるつもりもない
楽しんで、でも、喜んでもらえたらいいなあとは、密かに思っている
演目は「星の王子さま」を選んだ
王子さまは、よく夕日を見ていた
人はかなしいとき夕暮れをみたくなるんだ、
そう言った
一人ぼっちじゃなくなったとき、人は夕暮れをみたくなるのかもしれない
それはかなしいから
それはなつかしいから
別れと出会いを繰り返し、「自分」という星に帰った王子さまは、大事なものに気づいて、どんなふうに夕暮れを眺めただろうか

花は幾度目かの夕暮れにぼとりと落ちる