ある日
一度いってみたいなと思っていた神社に、友人が思いつきで連れてってくれた
これはタイムマシーンだな、と思う
わたしは、タイムマシーンに乗った
だって、さっきまで思いもよらなかった場所に、今、自分はいる訳で
いつかのわたしが思い描いた景色が、目の前に現れた
彼女は、ドラえもん、もしくは魔法使いだ
前前から、この人魔法使えそうだ、とは思っていたけど
空が不思議な日だった
雲は縦横無尽で、あっちこっちからテープ投げしてるみたい
空に出港を祝われて、私たちは、今日という1日に船出する
帰り道にみた彩雲に、幸先いいね、と友人は言った
幸先って、いい言葉だな
それは、あながち迷信ではない気がする
未来を決めたら、今が決まる
幸先いいんだーと思うと、思った今も幸せになる
そして、今日過ごした時間という過去をも幸せにする
やっぱり彼女は、魔法使いだわ
でも、みんな、誰かの魔法使いかもしれない
食べたい、と言ってたから作ってみよう
行きたい、と言ってたから計画しよう
美味しかったから、お裾分けしよう
楽しかったから、お土産買って帰ろう
たとえば去年のクリスマス
友人がくれたクリスマスカード
たとえばブログやインスタのコメント
そこには、心のこもった言葉が書かれていて
嬉しくて、まるで昔の魔女っ子系アニメの変身シーンのように、その言葉がわたしを7色の光に包んで
ちょっといい自分に変身する
魔法の種は、けっこういろんな所に、さりげなく落ちていて
そして、さりげなく目の前に欲しかったものが現れ、さりげなく願いは叶う
なんだろ
全部が魔法に思えてきたなあw
それなら、自分が自分の願いを叶えてあげる魔法使いになるのも悪くない
そう思って飲む、一杯のテイクアウトのコーヒーは、ちょっと特別な味がしたりする
友人が撮った一枚
佐賀、武雄の大楠さん
見た目より、遥かに大きい
実際の大きさより、もっともっと大きい
なんというか、宇宙から地球をみた(みたことはないけど)ときのような
大きすぎて、ここにいるのに、大きさが把握できない、というか
大きいが五感を越えていく
大きいなあ、としばらく見ていた
樹齢3000年ともいわれているこちらの大楠さんは、周りを竹と杉に囲まれて
たった一本で、そこに立っていた
木の中はほとんど空洞だけど、支えなく自立している
夢に落ちる直前の感じの境目に在るような、境界にいた
鳥居をくぐった時から漂っている、あいまいな
空気の成分が違うから、すんっと音がどこかへ消えていくような
大楠さんの世界
眠ってるのかな
私たち人間が見えているだろうか
どこまでが、大楠さんなんだろう
3000年という月日のたやすくなさに、ぼーっとなる
命ってなんなんだ
長いとか、大きいとか、新しいとか、短いとか
そんなへっぽこ形容詞じゃ、表せない
形容しがたいものは、在る、としかいいようがない
命って、今なんだなあ
わけわかめながら、ひじょうに腑に落ちた気がして
そのあと食べたお蕎麦の美味しさは、格別だった
とろろ蕎麦の真ん中には、ウズラの卵がいて、オレンジ色に輝く宇宙の穴のようだった