子供のころよく食べにいっていたお好み焼きやさんの看板を見つけた
なんと。。!
あれからうん十年
イオンができたこともあり、駅前のアーケードはだいぶ廃れていて
バスターミナルから、昔ながらのアーケードへ続く連絡通路のビルに入っているそのお店がまだあるなんて、思ってもみなくて驚いた
考えてみれば、勝手な話だ(^^;
すべては変わっていくけど、変わらないものもあるのに
この連絡通路の橋も好きだった
父は船乗りさんで、年に数回しか帰ってこない
母は車の免許を持っておらず、父がいないときの移動は、もっぱら県営バスだった
駅前のアーケードにいくのは、特別なお出かけで
バスターミナルからアーケードまでのこの橋を、ワクワクドキドキしながら、いつもスキップするように渡っていた
バスターミナルは、本数がだいぶ減り
テナントも、ほとんど入っていなかった
街は、人の流れとともに姿を変える
でも、人の気配というのは、不思議と消えない
消えない、というか
層になって、積もっていく
残像ほど目に見えないけど
その時々の
賑わいや、移り変わりや
音や色やにおい
そういった種類のものが
降り積もっていて
遠くの方
人いきれ
訪れた人たちのテンション
遠いけど、ある
どっかから、自分の笑い声が聞こえてくるようだ
空気も記憶するんだな、きっと
今は、事務所や会議室などに使われているらしいターミナルの2階フロア
トイレに入ると、「ドアはおしとやかに閉めましょう。」と貼り紙してあって
誰もいないけど、そっと閉めてみる
お好み焼きやさんに入った
。。変わってない
あまりの変わってなさに、記憶がものすごい早さでよみがえった
いや
もう自分は、記憶の中にいた
母と弟妹とよく座っていた座敷に、同じような家族連れ
自分だけがおばさんになって、うん十年前に座って、お店の風景を眺めてるみたい
タイムスリップってこんな感じなんだ、と冷静に考えてる自分に、少し笑えた
そういえば
お好み焼きを焼いてくれるお父さんが、おじぃちゃんになってるわ
そこだけが違うといえば違う
お好み焼きは、300円から
当時と値段が変わってないんじゃなかろうか
ソースの少し焦げた香ばしい匂いが、つーんと鼻の奥を刺激した
まだ食べてもいないのに
突然口の中に、味が、ぶわっと広がった
覚えてる
からだが覚えている
なんの変哲もない豚たま
でも、美味しすぎて涙がでた
美味しいって、懐かしいをちょっと含んでる
美味しいって、自分にとって特別な記憶のことなんだな
結局、追加でお好み焼き4枚テイクアウトした
自分で働いたお金で、代金を払った
わたしも大人になったなw
連絡通路の橋からみた夕暮れは、とても眩しかった
さあ、うちに帰ろう
母と父が待っている
お腹はけっこういっぱいだけど
一緒に、あの頃を食べようと思う