2019年05月18日

何もない
何もないことが、たまにしんどかった
息を止めて、海底から、光る水面を眺めてるみたいに
 昔、「潜水服は蝶の夢をみる」という映画をみた
主人公は、病気で、頭はしっかりしてるのに、話せない、体も動かせなくなる
みんなの言ってることがちゃんとわかるのに、伝えることが出来ない
自分の中に閉じ込められたような状態
それを、潜水服をきて海に潜っているようだ、と言う
息苦しさ
思うように動かない体
話そうとしても、届かない
世界は、キラキラ光る水面の上で揺らめいている
その映像が、頭にこびりついている
結末は、忘れてしまったな
主人公はどうなったんだっけ
私に何もないとして、だからなんだというのだ
ないもあるも同じこと
8車線の長い信号を渡りながら
強い風が、周囲の雑音を一気に吹き連れていった
耳鳴りのような沈黙
青信号を促す音だけ、ぼっぽー、ぽっぽー、となっている
海の方角に、曇り空の雲
風の行く先に、新しい季節がいる
夏がくるのかな