2020年05月06日

この時期は、柑橘系のお花の匂いがあちこちからして、なんとも爽やか甘い空気に足を止めることもしばしば

特に今年は、ミカンの花の香りが一番好きという友人に触発され、蕾が開くのを心待ちにしていた
近所の川沿いの土手に、一際大きなミカンの木がある
明らかに、蕾の大きさとその数が他と違いすぎて
ミカンの木とわからず、なんだろな?と思いながらそこを通っていた
ある日、匂いがした
辿るように進むと、あの木だ
甘さも酸味も増し増しの、それはそれはかぐわしい香り
今は、ほぼ毎日わざわざ嗅ぎにいっている
おじいちゃんが庭仕事をしていたので、いい匂いですね、と話しかけた
おじいちゃんは、この木がパール柑という珍しい品質であること、おじいちゃんのお兄さんが農業試験場にお勤めしていた経緯で、苗木をもらったこと、お兄さんは亡くなりこの木が形見になったことなどをニコニコと話していた
夕方通りかかると、9割くらいの確率でおじいちゃんは庭にいて
それから
会う度に初めてかのように挨拶しあい、同じ話を聞くようになった
多分おじいちゃんは、通りがかる人とよくお話をされてるんだろう
最後には必ず、実がなったら差し上げますので声かけてください、花が付きすぎてるから、実なりがどうかわかりませんが、というのだ
そして私はいつも、会話が途切れたのを見計らい、手を振ってさようならと別れる




花は、だいぶ咲き枯れてきた



私はうちに帰って、匂いの幻をかぐ




あー実がなるのが楽しみだなあ

おじいちゃん曰く、パール柑はなかなかスーパーに出回らないんだって


こうやって、何気なく


思い出は増えていく





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