2020年02月08日

「モモ」というお話がある

ミヒャエルエンデの名作だ
小学生のとき、ジャケ惚れした記憶がある
魔法の呪文のような作者の名前
オレンジの縁取りが映える美しい装丁
時間泥棒とその存在に気付く女の子モモの冒険
人は、みたくないものはみえないようになっているという
「時間がない、時間がない」といいながら、時間を盗まれていることに気づかない大人たちのことを、この写真をみながら思い出していた
今日、ハローワークデビューした
求職するのに登録が必要で、申込書みたいなものを書く
その中に「希望の職種」という欄があって、書き物机でボールペンをカチカチさせながら、なんかワクワクドキドキしてしまった
なんになろうか?
なんになろうか~!
希望は二つまでしか書き込めない
迷いに迷って、ひとまずカメラアシスタント、ライター、と書いた
経験は有りますか?
ライターにいたっては皆無だから、堂々と「無し」にまる
やってみたい仕事
カメラアシスタントというか、自分の写真の写真集つくりたい
ライターというか、好きだなと思う方に、人生の思い出などを教えていただき、書き残したい
。。。
582番で呼ばれて、手続きをした
係りのお姉さんに、この仕事はハローワークではご紹介が難しいので、ご自身でもお知り合いなどつてを探されてみて下さいね、と言われた
なんと親切な
帰り、なんかお茶したいなあと思いながら、掲示板の職業訓練生募集一覧を眺めていたら、会いたいと思っていた人にばったり会った
近所のカフェでハード系パンをガジガジ食べながら
無職になった自分の存在価値について、あーだこーだ考えてた話を聞いてもらった
その人は、考えるのが好きなんだねーと言って、自分も求職中だけどそんなことあんまり考えないなあと面白がっていた
あれ?
考えるのが好きなだけ?
そう言われてはたと気付く
私は真剣に考えていた
それは、考えるのが好きで考えていたっていうだけのこと?
悩みというか、好きこのんで悩みにしていたってことじゃない?と思ったのだ
すごい簡単なことだった
そう思ったら、おかしくなってきて
そうか、そうか
私は考えるのが好きなのかー
そうか、そうか
と、みょーに納得した
問題をクリアしなければたどりつけない、今の自分では足りていない
そう思っているから、問題と思われることをあえて作り出して、解決しようとして、考えて、我慢して、乗り越えようとして
自作自演の物語の中で途方にくれる、というおかしみ!
おかしみとしか、言いようがないではないか
やばい
でもこのおかしみは、私にとって表現の源でもあるんだ
実は昨日、ちょっと嫌なこと、というか悲しいことがあった
でも、全部ふっとんだ
解決しようとしなくていい
解決しようとしてもいい
どうにかしようとしなくていい
どうにかしようとしてもいい
これは、おかしみだ
良く行くパン屋の2階に、眺めのいいイートインスペースがある
そこで、たまたま顔見知りのマダムと会った
ここでこの時間に、焼きたてのこのパンをコーヒーといただくのにはまってるの
と、マダムはCanCamを読みながら言った
すごい幸せですねーと言うと、幸せなことをしようと思うの、とマダムはニコニコ笑ってパンをくれた
私は涙がでた
目の前で日向ぼっこしている雀が、プクプクにふくらんでいて
写真を撮ろうと思って携帯を出してるあいだに
ふわっと、光の方へ飛び立っていった