2019年11月30日

朝、待ち合わせまで30分ある

散歩してみようと思った

なんとここはどこだ

風の息づかいにあわせ、いちょうの葉がさらさらと落ちる

完全に朝なのに
今日は始まったばかりなのに

もうすでに夕方を意識して、ゆっくりと沈む準備を済ませているような日の光が

柔らかく、景色の色温度をあげている

油絵の中に入り込んだ

きっと、絵の中に入るとこんな感じなんだと思った
この絵を仕上げてる人は、油絵のマットな質感の中に、水彩のようなさらさら、ゆらゆらを混ぜる
まだこれから、季節のうつろいを描き込んでいくんだ

こんなきれいな景色を、少し丘になってる場所のかどっこで、ホームレスっぽいおっちゃんが一人

チャリとこうもり傘を置いて、タバコをふかしながら眺めている

おっちゃんは、そのあと本を読み始めた

ありがとう、という感情に、ありがとうという名前をつけたのは誰だろう

ありがとう、と名前がつく前のありがとうって、これかもしれない

きれいな、揺らめく、光のようなものが、胸のあたりにポッと生まれる

いや、これは感動か?

うん

どっちでもいいか

背中に羽がはえたみたいに、体が軽い気がしている